たこみんFM 1回目は『タコの心身問題』をご紹介しました

お仕事報告

ジタバタしても、その日はやって来ます。本日はクラファンの返礼で始まった「たこみんFMでの10分間番組MC 週1×3か月」権の第1回目放送日でした。

今回ご紹介したのは『タコの心身問題』です。

出版社のページはこちらです 

タコの心身問題 | 頭足類から考える意識の起源 | みすず書房
心は何から、いかにして生じるのだろう。進化は「まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」。一つはヒトや鳥類を含む脊索動物、もう一つがタコやイカを含む頭足類だ。哲学者であり練達のダイバーでもある著者によれば、「頭足類と出会うことはおそら...

では、番組のゆるい文字起こしを載せておきます。

音声はStandFMなど、Podcastから配信されています。


オープニング


富山佳奈利の理科本クラブ。

こんにちは。サイエンスライターの富山佳奈利(とやま かなり)です。

この番組では理科好きの私が、ぜひあなたにも読んで欲しい本を毎週一冊ご紹介いたします。

ご紹介する本のジャンル発売時期、書籍やムック、雑誌といった形態にはこだわりません。 「面白い!あなたにもぜひ読んで欲しい!」そう思った本たちを大切なあなたに、ふんわりとお引き合わせする番組です。

いよいよ、たこみんエフエムでの放送が始まりました。どうぞよろしくお願いいたします。

タイトル紹介

記念すべき第一回目に、お引き合わせする本は… 『タコの心身問題 ~頭足類から考える意識の起源~』です。

あれっ?て思われましたかね?

素直にタイトルで選びました。

著者紹介

この本は翻訳モノでして、2016年にオーストラリアのシドニー大学科学史・科学哲学スクール教授およびニューヨーク市立大学大学院センター兼任教授をされた ピーター・ゴドフリー=スミスさんによって書かれたものです。

日本では2018年11月に夏目大さんの翻訳で発売されました。

科学哲学というのは、ちょっと耳慣れない学問ですが、まあ、科学、サイエンスを哲学的な視点から考えてみましょうっていう学問と言われています。ちょっとピンとこないですよね。人生哲学の人生の部分をサイエンスに置き換えたような感じ、がわかるようなわからないような、まあ割と新しく切り分けされた学問分野になります。

著者のピーターさんは、科学史の研究者でもあって、科学技術の発展を歴史的な側面から整理するっていう形で研究されているんですね。 で、こういう興味関心を持っているオーストラリア生まれで、凄腕のダイバーでもありまして。海中で撮影したビデオは、あのナショナルジオグラフィック、ナショジオですよ。あの世界最高峰の科学番組でも取り上げられているっていうすごい方なんですね。

そんなめちゃめちゃ考える性格で、めちゃめちゃ海の中の観察が得意な人に、シドニーの海が運命の出会いをプレゼントしてくれる。

そんな場面からこの本は始まります。

ざっくりな紹介です

今回ご紹介する「タコの心身問題」。
こちらはですね、訳者あとがきまでを入れて254ページになります。なかなかね、ページ数あるなぁっていう感じの本なので、もう本当に超超超かいつまんで面白かったところをお知らせしておきたいと思います。

科学者の方が書いた本なので、 厳密でややこしい表現だったり、注釈がたくさん付いてきたり、というところがありますよね。これはしょうがない。

なので、この本から何か知識を学ぼうっていうのは、一旦横へ置いておいて。で、ピーターさんがタコに入れてあげる物語部分って言いますかね。そのへんをまずは読んでみて欲しいなぁと思います。

第一章から、「違う場所で進化した心との出会い」っていうことでね。ページ番号で言うと2ページ目。 物語の最初の最初、小見出しが「二度の出会い、そして別れ」なんですよね。

あれ?恋愛、小説かな??っていう書き出しで始まってます。

ちょっとだけ読みますね。

(以下、引用)2009年春のある朝、マシュー・ローレンスは、小さなボートのいかりを青い海に適当に下ろし、海の中へと飛び込んだ。 オーストラリアの東海岸だ。(引用ここまで)

こんな感じで、とあるタコとのファーストコンタクトまでの出来事が記述されています。

で、いきなりね、もう3ページ目の1行目ですね。いきなりこうなんかベッドっていう単語がカッコ付きで登場して(笑)

なんかやっぱり恋愛ものなのかな?と、あれっ?ていうなんかね。まあ不安みたいな気持ちがよぎります。

ただ、まあ安心してください。タコです、と。

著者の熱が伝染してくる

10匹ほどのオクトパスたちがのんびり暮らしている場所に出くわしたっていう話になっています。

妙に落ち着いていて、賢そうなタコ達との出会いが、マシューさんの心に何かこうタコ愛みたいなもの植え付けていくんですよね。

さすがは科学者と言いますか、こうあの時出会ったタコの概念をどんどん一般化して。
で、タコ、タコの仲間から頭足類っていうふうに、LOVEの範囲を広げて。

さらに今度は、地球上の生命は究極的には「たった一個の原始的な生命」から始まって、だんだん枝分かれをしていって違う生命体として、今このように地球上に暮らしているよ、と。 ならば、この素敵な頭足類と我々人類がどこで別れ別れになってしまったんだろうと考えるわけなんですよね。

化石とかね、そういう証拠に基づいて科学的に遡った結果、離ればなれになったのは、どうも6億年前らしい。

まあ、人類と一番近いって言われているチンパンジー。チンパンジーと人類の共通祖先は600万年前までは生きていたと書いてありましたね。 6億年前に比べると、もうほんのついさっきみたいな気がしてしまいますよね。

という感じで一般的な『学術書って区分けされる本』よりも、内容はすごく読みやすいです。

おーい作者の人、大丈夫?っていう感じで、こっちが気になっちゃうようなユーモアがたくさん混ぜてあります。

ここは翻訳をされた夏目さんの腕もね、大きいところだと思うんですが。

時間が溶ける危険な本です(笑)


ついつい引き込まれてしまう危険な本でして、私が最初にこの本を読んだのは、本屋さんからの帰り道の電車 だったんですけど。 まんまと乗り、過ごしてしまいました。
うん。

そういう面白い、タコマニアの告白本みたいなところから始まるのですが、見るからに賢そうな頭足類ね。特にタコをずっと追って海へもぐって観察をしてきた著者が「まあ、賢そうっていうか、賢いよね」って思って。

で、そうすると、「賢いってどういうこと?」とか、「頭足類の賢さを示すエピソード」もこれでもかって挙げてくるんですけど。

あれですね。こう…、推しの話をね熱心にしてる、周囲が見えなくなったヲタクみたいな(笑)もうまさにそんな感じです。

おっと、そろそろお時間ですね(汗)
でまあ、そろそろ現実に浮上する時間が近づいてきたので、大急ぎで締めないと、私は思っているところなんですが。

この著者の人は、人間と6億年前に枝分かれをして、別系統の賢さを持っている生き物『頭足類』を知ることで、知性とは何か、心とは何かっていうものを知るヒントになるのではないかと考えたわけなのです。

もう今、今の今ですね。世間をザワつかせているChatGPT的なAI技術とかもね。 「コンピューターが知性だったり意識、心なんかを持ったらどうしようか?」 っていうか、もうそれを判断しようにも『てか、意識って何ですかね』っていうのが究極的にはわかっていないので、「じゃあコンピューターがそれを持っちゃったかどうか」がわからないんですよね。…っていうところなんかも合わせながら読んでいくと、さらに面白い感じがするかなと思います。

あとですね、特に仲良くなっタコに、狙っていたイカの居場所教えてもらうっていうエピソードがあったり。

特に、バディ的に仲良くなったタコの写真が綺麗なカラー写真が何枚も載っていたりします。

確かに、あのね、こう…フォントが小さいし、挿絵もないので、パッと見開いてすんなり読めるかなっていうと、ちょっと人によるかなと思うのですがね。

一旦落ち着いて声に出して読んでみると、すごく楽しい♪

なんか情景が想像できる、目の前に浮かんでくるような素敵な物語だなと思いました。

「今日の128ページ」のお時間です

で、今日の128頁の時間です(笑)

せっかくなので、ご紹介した本の128ページには何が書かれていたのかっていうのを毎回チェックして行きたいなと思います。

128ページは、『第四章ホワイトノイズから意識へ』というテーマが描かれている場所でした。

128頁の後ろから四行目に、 この本がIT屋さんたちの心を当時ね、発売当時ガッチリ掴んだというポイントが書かれています。

タコやイカなんかは海の中で上手に擬態をするっていうのも知られてますよね。

形を似せたり、周囲に色を合わせたりして、これをやるのも脳みそでいちいち考えて、この状況だから、この辺が赤でここが青でっていうのを考えるんじゃなくて、それぞれの部位 が、それぞれ必要な形、シルエットであったり、色であったりっていうのを独自判断して瞬時に作動するみたいなところはやっぱり脳みそ以外にもそれなりの知的な何かがちゃんと機能して、しかも連携して動いていることの証なんじゃないか? それではエンディングです。

本日は『タコの心身問題 ~頭足類から考える意識の起源~』をご紹介いたしました。

来週は 佐藤友美著「ママはキミと一緒にオトナになる」をご紹介いたします。

どうぞお楽しみに。

コメント

タイトルとURLをコピーしました